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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(037)

顕仏未来記

 文永10年(ʼ73)閏5月11日 52歳

    沙門日蓮これを勘う。
 法華経の第七に云わく「我滅度して後、後の五百歳の中、閻浮提に広宣流布して、断絶せしむることなかれ」等云々。
 予、一たびは歎いて云わく、仏の滅後既に二千二百二十余年を隔つ。いかなる罪業によって、仏の在世に生まれず、正法の四依、像法の中の天台・伝教等にも値わざるやと。
 また一たびは喜んで云わく、いかなる幸いあって、後の五百歳に生まれてこの真文を拝見することぞや。
 在世も無益なり。前四味の人はいまだ法華経を聞かず。正像もまた由無し。南三北七ならびに華厳・真言等の学者は法華経を信ぜず。天台大師云わく「後の五百歳、遠く妙道に沾わん」等云々。広宣流布の時を指すか。伝教大師云わく「正像やや過ぎ已わって、末法はなはだ近きに有り」等云々。末法の始めを願楽するの言なり。時代をもって果報を論ずれば、竜樹・天親に超過し、天台・伝教にも勝るるなり。