『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

だすなり。
　しかのみならず、ならびに禅宗・念仏等をこれを用いる。これらの法は、皆、未顕真実の権教、不成仏の法、無間地獄の業なり。彼の行人、また謗法の者なり。いかでか御祈禱叶うべきや。
　しかるに、国主と成り給うことは、過去に正法を持ち仏に仕うるによって、大小の王、皆、梵王・帝釈・日月・四天等の御計らいとして郡郷を領し給えり。いわゆる、経に云わく「我、今五眼もて明らかに三世を見るに、一切の国王は皆過去の世に五百の仏に侍うるによって帝王主となることを得たり」等云々。しかるに、法華経を背きて真言・禅・念仏等の邪師に付いて、諸の善根を修せらるるとも、あえて仏意に叶わず、神慮にも違するものなり。能く能く案あるべきなり、人間に生を得ること、すべて希なり。たまたま生を受けて、法の邪正を極めて未来の成仏を期せざらんこと、返す返す本意にあらざるものなり。
　また慈覚大師、御入唐以後、本師・伝教大師に背かせ給いて、叡山に真言を弘めんがために御祈請ありしに、日を射るに日輪動転すという夢想を御覧じて、四百余年の間、諸人これを吉夢と思えり。日本国は殊に忌むべき夢なり。殷の紂王、日輪を的にして射るによって、身亡びたり。この御夢想は、権化のことなりとも、能く能く思惟あるべきか。よって九牛の一毛、註すところ、件のごとし。