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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 帝王は国家を基として天下を治め、人臣は田園を領して世上を保つ。しかるに、他方の賊来ってその国を侵逼し、自界叛逆してその地を掠領せば、あに驚かざらんや、あに騒がざらんや。国を失い家を滅ぼさば、いずれの所にか世を遁れん。
 汝、すべからく一身の安堵を思わば、まず四表の静謐を禱るべきものか。
 なかんずく、人の世に在るや、各後生を恐る。ここをもって、あるいは邪教を信じ、あるいは謗法を貴ぶ。各是非に迷うことを悪むといえども、なお仏法に帰することを哀しむ。何ぞ同じく信心の力をもってみだりに邪議の詞を宗めんや。もし執心翻らず、また曲意なお存せば、早く有為の郷を辞して必ず無間の獄に堕ちなん。
 所以はいかん。大集経に云わく「もし国王有って、無量世において施・戒・慧を修すとも、我が法の滅せんを見て、捨てて擁護せずんば、かくのごとく種うるところの無量の善根ことごとく滅失して乃至その王久しからずして当に重病に遇い、寿終わるの後、大地獄に生ずべし。王のごとく、夫人・太子・大臣・城主・柱師・郡守・宰官もまたかくのごとくならん」。
 仁王経に云わく「人、仏教を壊らば、また孝子無く、六親不和にして天神も祐けず、疾疫・悪鬼、日に来って侵害し、災怪首尾し、連禍縦横し、死して地獄・餓鬼・畜生に入らん。もし出でて人とならば、兵奴の果報あらん。響きのごとく、影のごとく、人の夜書くに火は滅すれども字は存するがごとく、三界の果報もまたかくのごとし」。
 法華経の第二に云わく「もし人信ぜずして、この経を毀謗せば乃至その人は命終して、阿鼻獄に入