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問うて曰わく、方等部の諸経の後に、いずれの経を説きたもうや。
答えて曰わく、般若経なり。
問うて曰わく、何をもってこれを知るや。
答えて曰わく、涅槃経に云わく「方等より般若を出だす」。
問うて曰わく、般若経の後には、いずれの経を説きたもうや。
答えて曰わく、無量義経なり。
問うて曰わく、何をもってこれを知るや。
答えて曰わく、仁王経に云わく「二十九年の中」。無量義経に云わく「四十余年」。
問うて曰わく、無量義経には般若経の後に華厳経を列ね、涅槃経には般若経の後に涅槃経を列ぬ。今立つるところの次第は般若経の後に無量義経を列ぬ。相違いかん。
答えて曰わく、涅槃経第十四の文を見るに、涅槃経より已前の諸経を列ねて涅槃経に対して勝劣を論じ、しかも法華経を挙げず。第九の巻において、法華経は涅槃経より已前なりとこれを定めたもう。法華経の序品を見るに、無量義経は法華経の序分なり。無量義経には般若の次に華厳経を列ぬれども、華厳経を初時に遣れば般若経の後は無量義経なり。
問うて曰わく、無量義経の後に、いずれの経を説きたもうや。
答えて曰わく、法華経を説きたもうなり。
問うて曰わく、何をもってこれを知るや。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(023)守護国家論 | 正元元年(’59) | 38歳 |