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遠種となる。いわんや、聞いて思惟し、勤めて修習せんをや」。
また云わく「一句も神に染めぬれば、ことごとく彼岸を資く。思惟・修習すれば、永く舟航に用たり。随喜・見聞すれば、つねに主伴となる。もしは取、もしは捨、耳に経て縁と成り、あるいは順、あるいは違、終にこれに因って脱す」文。私に云わく「もしは取、もしは捨」「あるいは順、あるいは違」の文は、肝に銘ずるなり。
法華翻経後記〈釈僧肇記す〉に云わく「什〈羅什三蔵なり〉、姚興〈王〉に対えて曰わく『予、昔天竺国に在りし時、あまねく五竺に遊んで大乗を尋討し、大師・須梨耶蘇摩に従って理味を餐受す。頂を摩でてこの経を嘱累して言わく、仏日西に隠れ、遺光東北を照らす。この典、東北の諸国に有縁なり。汝、慎んで伝弘せよと』と」文。私に云わく、天竺よりは、この日本は東北の州なり。
恵心の一乗要決に云わく「日本一州、円機純熟せり。朝野・遠近同じく一乗に帰し、緇素・貴賤ことごとく成仏を期す。ただ一師等あって、もし信受せずんば、権とやせん、実とやせん。権ならば貴ぶべし。浄名に云わく『衆の魔事を覚知して、その行に随うを示す。善力方便をもって、意に随って皆度す』。実ならば憐れむべし。この経に云わく『当来世の悪人は、仏の一乗を説きたもうを聞いて、迷惑して信受せず。法を破して悪道に堕ちん』と」文。
妙法蓮華経
妙は、玄義〈天台〉に云わく「言うところの妙とは、妙は不可思議に名づくるなり」。また云わく「秘
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(017)一代聖教大意 | 正嘉2年(’58)2月14日 | 37歳 |