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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

時無し。故に、一つの法蓮華において三つの草華を分別し、三乗の権法を施し擬宜・誘引せしこと、四十余年なり。この間は、衆生の根性万差なれば、種々の草華を施設して、終に妙法蓮華を施したまわず。故に、無量義経に云わく「我は先に道場菩提樹の下に乃至四十余年にはいまだ真実を顕さず」文。法華経に至って、四味三教の方便の権教・小乗の種々の草華を捨てて唯一の妙法蓮華を説き、三つの華草を開して一つの妙法蓮華を顕す時、四味三教の権人に初住の蓮華を授けしより始めて開近顕遠の蓮華に至って、二住・三住乃至十住・等覚・妙覚の極果の蓮華を得るなり。
 問う。法華経は、いずれの品、いずれの文にか、正しく当体・譬喩の蓮華を説き分けたるや。
 答う。もし三周の声聞に約してこれを論ぜば、方便の一品は皆これ当体蓮華を説けるなり。譬喩品・化城喩品には譬喩蓮華を説きしなり。ただし、方便品にも譬喩蓮華無きにあらず。余品にも当体蓮華無きにあらざるなり。
 問う。もししからば、正しく当体蓮華を説きし文はいずれぞや。
 答う。方便品の「諸法実相」の文これなり。
 問う。何をもって、この文は当体蓮華なりということを知ることを得るや。
 答う。天台・妙楽、今の文を引いて今経の体を釈せし故なり。また伝教大師、釈して云わく「問う。法華経は何をもって体となすや。答う。諸法実相をもって体となす」文。この釈分明なり〈当世の学者、この釈を秘して名を顕さず。しかるに、この文の名をば妙法蓮華と曰う義なり〉。
 また現証は、宝塔品の三身これ現証なり。あるいは涌出の菩薩、竜女の即身成仏これなり。地涌の