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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

 疑って云わく、如来の未来記、汝に相当たれり。ただし、五天竺ならびに漢土等にも法華経の行者これ有るか、いかん。
 答えて云わく、四天下の中に全く二つの日無し。四海の内、あに両主有らんや。
 疑って云わく、何をもって汝これを知る。
 答えて云わく、月は西より出でて東を照らし、日は東より出でて西を照らす。仏法もまたもってかくのごとし。正像には西より東に向かい、末法には東より西に往く。
 妙楽大師云わく「あに中国に法を失ってこれを四維に求むるにあらずや」等云々。天竺に仏法無き証文なり。漢土において高宗皇帝の時、北狄、東京を領して、今に一百五十余年、仏法・王法共に尽き了わんぬ。漢土の大蔵の中に、小乗経は一向これ無く、大乗経は多分これを失う。日本より寂照等少々これを渡す。
 しかりといえども、伝持の人無ければ、なお木石の衣鉢を帯持せるがごとし。故に、遵式云わく「始め西より伝う。なお月の生ずるがごとし。今また東より返る。なお日の昇るがごとし」等云々。これらの釈のごとくんば、天竺・漢土において仏法を失えること勿論なり。
 問うて云わく、月氏・漢土において仏法無きことは、これを知れり。東・西・北の三州に仏法無きことは、何をもってこれを知る。
 答えて云わく、法華経の第八に云わく「如来滅して後において、閻浮提の内に、広く流布せしめて、断絶せざらしめん」等云々。「内」の字は三州を嫌う文なり。