『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

神を礼するをば、礼拝雑行と名づけ、またこれを禁ず。しかるを、日本は神国として伊弉諾・伊弉冉の尊この国を作り、天照太神垂迹し御坐しまして、御裳濯河の流れ久しくして今にたえず。あに、この国に生を受けてこの邪義を用ゆべきや。また普天の下に生まれて三光の恩を蒙りながら、誠に日月・星宿を破すること、もっとも恐れ有り。
　また第四の称名雑行とは、念仏申さん人は、唱うべき仏菩薩の名あり、唱うまじき仏菩薩の名あり。唱うべき仏菩薩の名とは、弥陀三尊の名号、唱うまじき仏菩薩の名号とは、釈迦・薬師・大日等の諸仏、地蔵・普賢・文殊・日月星、二所と三島と熊野と羽黒と天照太神と八幡大菩薩と、これらの名を一遍も唱えん人は、念仏を十万遍・百万遍申したりとも、この仏菩薩・日月神等の名を唱うる過によって、無間にはおつとも、往生すべからずと云々。我世間を見るに、念仏を申す人も、これらの諸仏菩薩・諸天善神の名を唱うる故に、これまた師の教えに背けり。
　第五の讃歎供養雑行とは、念仏申さん人は、供養すべき仏は弥陀三尊を供養せん外は、上に挙ぐるところの仏菩薩・諸天善神に香華のすこしをも供養せん人は、念仏の功は貴けれどもこの過によって雑行に摂すとこれをきらう。しかるに、世を見るに、社壇に詣でては幣帛を捧げ、堂舎に臨んでは礼拝を致す。これまた師の教えに背けり。汝もし不審ならば、選択を見よ。その文明白なり。
　また善導和尚、観念法門経に云わく「酒肉五辛、誓って発願して手に捉らざれ、口に喫まざれ。もしこの語に違せば、即ち身・口ともに悪瘡を着けんと願ぜよ」文。この文の意は、念仏申さん男・女・尼・法師は、酒を飲まざれ、魚鳥を食わざれ、その外にら・ひる等の五つのからくくさき物を食わざ