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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

経々によりて生死をはなれんと思うは、はかなし、はかなし。女人は在世・正像末、総じて一切の諸仏の一切経の中に、法華経をはなれて仏になるべからず。
 霊山の聴衆、道場開悟たる天台智者大師、定めて云わく「他経は、ただ男にのみ記して女に記せず。今経は皆記す」等云々。釈迦如来・多宝仏・十方諸仏の御前にして、摩竭提国王舎城の艮、鷲の山と申す所にて、八箇年の間説き給いし法華経を、智者大師まのあたり聞こしめしけるに、我五十余年の一代聖教を説きおくことは皆、衆生利益のためなり。ただし、その中に四十二年の経々には「女人、仏になるべからず」と説きたまいしなり。今、法華経にして「女人、仏に成るととく」となのらせ給いしを、仏の滅後一千五百余年に当たって、鷲の山より東北十万八千里の山海をへだてて摩訶尸那と申す国あり、震旦国これなり。この国に仏の御使いに出でさせ給い、天台智者大師となのりて、「女人は法華経をはなれて仏になるべからず」と定めさせ給いぬ。
 尸那国より三千里をへだてて東方に国あり、日本国となづけたり。天台大師、御入滅二百余年と申せしに、この国に生まれて伝教大師となのらせ給いて、秀句と申す書を造り給いしに、「能化・所化ともに歴劫無し。妙法経力もて即身成仏す」と、竜女が成仏を定め置き給いたり。しかるに、当世の女人は即身成仏こそかたからめ、往生極楽は法華を憑まば疑いなし。譬えば、江河の大海に入るよりもたやすく、雨の空より落つるよりもはやくあるべきことなり。
 しかるに、日本国の一切の女人は、南無妙法蓮華経とは唱えずして、女人の往生・成仏をとげざる双観・観経等によりて、弥陀の名号を一日に六万返・十万返なんどとなうるは、仏の名号なれば巧み