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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

り。広・略・要の中には題目は要の内なり。
 問うて云わく、妙法蓮華経の五字には、いくばくの功徳をかおさめたるや。
 答えて云わく、大海は衆流を納めたり。大地は有情・非情を持てり。如意宝珠は万財を雨らし、梵王は三界を領す。妙法蓮華経の五字、またかくのごとし。一切の九界の衆生ならびに仏界を納む。十界を納むれば、また十界の依報の国土を収む。
 まず、妙法蓮華経の五字に一切の法を納むることをいわば、経の一字は諸経の中の王なり。一切の群経を納む。仏世に出でさせ給いて、五十余年の間、八万聖教を説きおかせ給いき。仏は人寿百歳の時壬申歳、二月十五日の夜半に御入滅あり。その後、四月八日より七月十五日に至るまで一夏九旬の間、一千人の阿羅漢、結集堂にあつまりて一切経をかきおかせ給いき。その後、正法一千年の間は、五天竺に一切経ひろまらせ給いしかども、震旦国には渡らず。像法に入って一十五年と申せしに、後漢の孝明皇帝・永平十年丁卯歳、仏経始めて渡って唐の玄宗皇帝・開元十八年庚午歳に至るまで、渡れる訳者一百七十六人、持ち来る経・律・論一千七十六部五千四十八巻四百八十帙。これ皆、法華経の経の一字の眷属の修多羅なり。
 まず、妙法蓮華経の以前四十余年の間の経の中に、大方広仏華厳経と申す経まします。竜宮城には三本あり。上本は十三世界微塵数の品。中本は四十九万八千八百偈。下本は十万偈四十八品。この三本の外に震旦・日本にはわずかに八十巻・六十巻等あり。阿含の小乗経、方等・般若の諸大乗経等、大日経は、梵本には阿嚩囉訶佉の五字ばかりを三千五百の偈をもってむすべり。いわんや、余の諸尊