『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

　選択集に云わく「道綽禅師、聖道・浄土の二門を立てて、聖道を捨て正しく浄土に帰するの文○初めに聖道門とは、これについて二つ有り。一には大乗、二には小乗なり。大乗の中について顕密・権実等の不同有りといえども、今この集の意はただ顕大および権大のみを存す。故に、歴劫迂廻の行に当たる。これに準じてこれを思うに、応に密大および実大をも存すべし。しからば則ち、今の真言・仏心・天台・華厳・三論・法相・地論・摂論、これらの八家の意、正しくここに在るなり○曇鸞法師、往生論註に云わく『謹んで竜樹菩薩の十住毘婆沙を案ずるに云わく、菩薩、阿毘跋致を求むるに、二種の道有り。一には難行道、二には易行道なり』○この中、難行道とは、即ちこれ聖道門なり。易行道とは、即ちこれ浄土門なり○浄土宗の学者、まず、すべからくこの旨を知るべし。たとい先より聖道門を学ぶ人なりといえども、もし浄土門においてその志有らば、すべからく聖道を棄てて浄土に帰すべし」文。
　また云わく「善導和尚、正・雑の二行を立てて、雑行を捨て正行に帰するの文。第一に読誦雑行とは、上の観経等の往生浄土の経を除いてより已外、大小乗・顕密の諸経において受持し読誦するを、ことごとく読誦雑行と名づく○第三に礼拝雑行とは、上の弥陀を礼拝するを除いてより已外、一切の諸余の仏菩薩等および諸の世天等において礼拝し恭敬するを、ことごとく礼拝雑行と名づく○私に云わく、この文を見るに、すべからく雑を捨てて専を修すべし。あに百即百生の専修正行を捨てて、堅く千中無一の雑修雑行を執せんや。行者能くこれを思量せよ」と。
　また云わく「貞元入蔵録の中に、始め大般若経六百巻より法常住経に終わるまでの顕密の大乗経、