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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

本位に居して衆生を利益する、これなり。
 問うて曰わく、誰人のために広開近顕遠の寿量品を演説するや。
 答えて曰わく、寿量品の一品二半は、始めより終わりに至るまで、正しく滅後の衆生のためなり。滅後の中には、末法今時の日蓮等がためなり。
 疑って云わく、この法門、前代にいまだこれを聞かず。経文にこれ有りや。
 答えて曰わく、予が智、前賢に超えず。たとい経文を引くといえども、誰人かこれを信ぜん。卞和が啼泣、伍子胥が悲傷これなり。
 しかりといえども、略開近顕遠・動執生疑の文に云わく「しかも諸の新発意の菩薩は、仏滅して後において、もしこの語を聞かば、あるいは信受せずして、法を破する罪業の因縁を起こさん」等云々。文の心は、寿量品を説かずんば、末代の凡夫、皆、悪道に堕ちん等なり。寿量品に云わく「この好き良薬を、今留めてここに在く」等云々。文の心は、上は過去のことを説くに似たるようなれども、この文をもってこれを案ずるに、滅後をもって本となす。まず先例を引くなり。
 分別功徳品に云わく「悪世末法の時」等云々。神力品に云わく「仏滅度して後に、能くこの経を持たんをもっての故に、諸仏は皆歓喜して、無量の神力を現じたもう」等云々。薬王品に云わく「我滅度して後、後の五百歳の中、閻浮提に広宣流布して、断絶せしむることなけん」等云々。また云わく「この経は則ちこれ閻浮提の人の病の良薬なり」等云々。涅槃経に云わく「譬えば、七子あり、父母平等ならざるにあらざれども、しかも病者において心即ちひとえに重きがごとし」等云々。七子の中