『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

　答う。一義に云わく、真言は三界の内の説ならば、亡国は治定なるか〈義釈の文〉。
　他云わく、顕教の内にて大日・釈迦一体と説くとも、密教の内にては二仏各別なり。名は同じけれども義異なるなり、いかん。
　答う。この故に亡国と云うなり。
　　一義に云わく、かくのごとく云うこと、直ちに経文を出だすべきなり。
　他云わく、竜女は真言の成仏なり。法華には三密闕くるが故なり。
　答う。自義なるか、経文なるか。
　他云わく、経文なり。「陀羅尼を得たり」「不退転を得たり」云々。陀羅尼は三密の加持なり。
　答う。この陀羅尼を真言と云うは、自義なるか、経文なるか。
　　一義に云わく、さては弘法は僻事なり。その故は、この陀羅尼を戯論、第三の劣と下すなり。
　　一義に云わく、自語相違なり。法華に印有る故なり。
　他云わく、守護経の文に依れば、釈迦は大日より三密の法門を習って成仏するなり。
　答う。この故に法華を謗ずるか。
　　一義に云わく、この文は三説の内なるか、外なるか。
　　一義に云わく、これに相違せば、亡国は治定なるか。
　他云わく、法華経には「合掌し敬心をもって、具足の道を聞きたてまつらんと欲す」と云えり。何ぞ印・真言を捨つるや。