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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

見えたり。
 華厳宗と真言宗とは、本は権経・権宗なり。善無畏三蔵・金剛智三蔵、天台の一念三千の義を盗みとって自宗の肝心とし、その上に印と真言とを加えて超過の心をおこす。その子細をしらぬ学者等は、「天竺より大日経に一念三千の法門ありけり」とうちおもう。華厳宗は、澄観が時、華厳経の「心は工みなる画師のごとし」の文に天台の一念三千の法門を偸み入れたり。人これをしらず。
 日本、我が朝には、華厳等の六宗、天台・真言已前にわたりけり。華厳・三論・法相、諍論水火なりけり。伝教大師この国にいでて六宗の邪見をやぶるのみならず、真言宗が天台の法華経の理を盗み取って自宗の極とすることあらわれおわんぬ。
 伝教大師、宗々の人師の異執をすてて、専ら経文を前として責めさせ給いしかば、六宗の高徳八人・十二人・十四人・三百余人ならびに弘法大師等せめおとされて、日本国一人もなく天台宗に帰伏し、南都・東寺・日本一州の山寺、皆、叡山の末寺となりぬ。また漢土の諸宗の元祖の、天台に帰伏して謗法の失をまぬかれたることもあらわれぬ。
 また、その後ようやく世おとろえ、人の智あさくなるほどに、天台の深義は習いうしないぬ。他宗の執心は強盛になるほどに、ようやく六宗・七宗に天台宗おとされてよわりゆくかのゆえに、結句は六宗・七宗等にもおよばずいうにかいなき禅宗・浄土宗におとされて、始めは檀那ようやくかの邪宗にうつる。結句は、天台宗の碩徳と仰がるる人々、みなおちゆきて彼の邪宗をたすく。さるほどに、六宗・八宗の田畠・所領みなたおされ、正法失せはてぬ。天照太神・正八幡・山王等、諸の守護の諸