864ページ
悪を説く」の故なり。早く二百五十戒を抛って、日蓮に帰して成仏を期すべし。もししからずんば、「無間に堕在す」の根源ならん。
この趣、方々へ披露せしめ候い畢わんぬ。早く一処に集まって対決を遂げしめ給え。日蓮、庶幾せしむるところなり。あえて諸宗を蔑如するにあらざるのみ。法華の大王戒に対して小乗蚊虻戒、あに相対に及ばんや。笑うべし、笑うべし。
文永五年十月十一日 日蓮 花押
謹上 浄光明寺侍者御中
(073)
多宝寺への御状
文永5年(ʼ68)10月11日 47歳 多宝寺
日蓮、故最明寺殿に奉りたるの書・立正安国論、御披見候か。未萌を知ってこれを勘え申すところなり。既に去ぬる正月、蒙古国の簡牒到来す。何ぞ驚かざらんや。このこと不審千万なり。たとい日蓮は悪しといえども、勘うるところの相当たるにおいては、何ぞ用いざらんや。早く一所に集まって御評議有るべし。
もし日蓮が申すことを御用いなくんば、今世には国を亡ぼし、後世には必ず無間大城に堕つべし。
この旨、方々へこれを申せしめしなり。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(072)浄光明寺への御状 | 文永5年(’68)10月11日 | 47歳 | 浄光明寺 |
(073)多宝寺への御状 | 文永5年(’68)10月11日 | 47歳 | 多宝寺 |