皇の第二王子、承久三年辛巳二月二十六日に王位につき給う。同じき七月に佐渡の島へうつされ給う。この二・三・四の三王は父子なり。鎌倉の右大将の家人・義時にせめられさせ給えるなり。
ここに日蓮大いに疑って云わく、仏と申すは三界の国主、大梵王・第六天の魔王・帝釈・日月・四天・転輪聖王・諸王の師なり主なり親なり。三界の諸王は、皆はこの釈迦仏より分かち給いて、諸国の総領・別領等の主となし給えり。故に、梵釈等は、この仏を、あるいは木像、あるいは画像等にあがめ給う。須臾も相背かば、梵王の高台もくずれ、帝釈の喜見もやぶれ、輪王もかぼり落ち給うべし。神と申すは、また国々の国主等の崩去し給えるを、生身のごとくあがめ給う。これまた、国王・国人のための父母なり主君なり師匠なり。片時もそむかば、国安穏なるべからず。これを崇むれば、国は三災を消し、七難を払い、人は病なく長寿を持ち、後生には人天と三乗と仏となり給うべし。
しかるに、我が日本国は、一閻浮提の内、月氏・漢土にもすぐれ、八万の国にも超えたる国ぞかし。その故は、月氏の仏法は西域等に載せられて候ただ七十余箇国なり。その余は皆外道の国なり。漢土の寺は十万八千四十所なり。我が朝の山寺は十七万一千三十七所。この国は、月氏・漢土に対すれば、日本国に伊豆の島を対せるがごとし。寺をかずうれば、漢土・月氏にも雲泥すぎたり。かれはまた大乗の国、小乗の国、大乗も権大乗の国なり。これは寺ごとに八宗・十宗をならい、家々宅々に大乗を読誦す。彼の月氏・漢土等は、仏法を用いる人は千人に一人なり。この日本国は外道一人もなし。
その上、神はまた第一天照太神・第二八幡大菩薩・第三は山王等三千余社、昼夜に我が国をまぼり、朝夕に国家を見そなわし給う。その上、天照太神は内侍所と申す明鏡にかげをうかべ、内裏にあがめ
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
---|---|---|---|
(047)神国王御書 | 建治元年(’75)* |