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一期を過ぐること、程も無ければ、いかに強敵重なるとも、ゆめゆめ退する心なかれ、恐るる心なかれ。
たとい頸をば鋸にて引き切り、どうをばひしぼこをもってつつき、足にはほだしを打ってきりをもってもむとも、命のかよわんほどは、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経と唱えて、唱え死にに死ぬるならば、釈迦・多宝・十方の諸仏、霊山会上にして御契約なれば、須臾のほどに飛び来って、手をとり肩に引っ懸けて霊山へはしり給わば、二聖・二天・十羅刹女は受持の者を擁護し、諸天善神は天蓋を指し旛を上げて我らを守護して、たしかに寂光の宝刹へ送り給うべきなり。あらうれしや、あらうれしや。
文永十年癸酉五月 日 日蓮 花押
人々御中へ
この書、御身を離さず常に御覧あるべく候。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(036)如説修行抄 | 文永10年(’73)5月 | 52歳 | 門下一同 |