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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

は用なり、極熱の夏はなにかせん。涼風は夏の用なり、冬はなにかせん。仏法もまたまたかくのごとし。小乗の流布して得益あるべき時もあり。権大乗の流布して得益あるべき時もあり。実教の流布して仏果を得べき時もあり。しかるに、正像二千年は小乗・権大乗の流布の時なり。末法の始めの五百年には純円一実の法華経のみ広宣流布の時なり。この時は、闘諍堅固・白法隠没の時と定めて、権実雑乱の砌なり。敵有る時は刀杖弓箭を持つべし。敵無き時は弓箭兵杖何かせん。今の時は、権教即実教の敵と成るなり。一乗流布の時は、権教有って敵と成ってまぎらわしくば、実教よりこれを責むべし。これを、摂折二門の中には、法華経の折伏と申すなり。天台云わく「法華の折伏は権門の理を破す」。まことに故あるかな。
 しかるに、摂受たる四安楽の修行を今の時行ずるならば、冬種子を下ろして春菓を求むる者にあらずや。鶏の暁に鳴くは用なり、宵に鳴くは物怪なり。権実雑乱の時、法華経の御敵を責めずして、山林に閉じ籠もり摂受を修行せんは、あに法華経修行の時を失う物怪にあらずや。
 されば、末法今の時、法華経の折伏の修行をば、誰か経文のごとく行じ給えしぞ。誰人にても坐せ、「諸経は無得道、堕地獄の根源、法華経独り成仏の法なり」と、音も惜しまずよばわり給いて、諸宗の人法共に折伏して御覧ぜよ。三類の強敵来らんこと疑いなし。
 我らが本師・釈迦如来は在世八年の間折伏し給う。天台大師は三十余年、伝教大師は二十余年、今、日蓮は二十余年の間権理を破す。その間の大難、数を知らず。仏の九横の難に及ぶか及ばざるかは知らず。恐らくは、天台・伝教も、法華経の故に日蓮がごとく大難に値い給いしことなし。彼はただ悪