『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

　大品般若経に云わく「諸の天子よ。今いまだ三菩提心を発さざる者は応当に発すべし。もし声聞の正位に入らば、この人は三菩提心を発すこと能わざるなり。何をもっての故に。生死のために障隔を作すが故なり」等云々。文の心は、二乗は菩提心をおこさざれば、我随喜せじ。諸天は菩提心をおこせば、我随喜せん。
　首楞厳経に云わく「五逆罪の人、この首楞厳三昧を聞いて阿耨菩提心を発せば、還って仏と作ることを得。世尊よ。漏尽の阿羅漢はなお破器のごとく、永くこの三昧を受くるに堪忍せず」等云々。
　浄名経に云わく「それ汝に施さば、福田と名づけず。汝を供養せば、三悪道に堕つ」等云々。文の心は、迦葉・舎利弗等の聖僧を供養せん人天等は必ず三悪道に堕つべしとなり。
　これらの聖僧は、仏陀を除きたてまつりては人天の眼目・一切衆生の導師とこそおもいしに、いくばくの人天大会の中にして、こう度々仰せられしは本意なかりしことなり。ただ詮ずるところは我が御弟子を責めころさんとにや。この外、牛驢の二乳、瓦器・金器、蛍火・日光等の無量の譬えをとって二乗を呵責せさせ給いき。一言二言ならず、一日二日ならず、一月二月ならず、一年二年ならず、一経二経ならず、四十余年が間、無量無辺の経々に、無量の大会の諸人に対して一言もゆるし給うこともなくそしり給いしかば、世尊の不妄語なり。我もしる、人もしる、天もしる、地もしる。一人二人ならず百千万人、三界の諸天・竜神・阿修羅、五天・四洲、六欲・色・無色、十方世界より雲集せる人天・二乗・大菩薩等、皆これをしる、また皆これをきく。各々国々へ還って、娑婆世界の釈尊の説法を彼々の国々にして一々にかたるに、十方無辺の世界の一切衆生一人もなく、迦葉・舎利弗等は永