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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

らかならん。「是人於仏道、決定無有疑」の文、憑みあり。「唯我一人、能為救護」の説、疑いなし。「一念信解」の功徳は五波羅蜜の行に越え、「五十展転」の随喜は八十年の布施に勝れたり。「頓証菩提」の教えは遥かに群典に秀で、「顕本遠寿」の説は永く諸乗に絶えたり。ここをもって、八歳の竜女は大海より来って経力を刹那に示し、本化の上行は大地より涌出して仏寿を久遠に顕す。言語道断の経王、心行所滅の妙法なり。
 しかるに、この理をいるかせにして余経にひとしむるは、謗法の至り、大罪の至極なり。譬えを取るに物なし。仏の神変にても、何ぞこれを説き尽くさん。菩薩の智力にても、いかでか、これを量るべき。されば、譬喩品に云わく「もしその罪を説かば、劫を窮むとも尽きじ」と云えり。文の心は、法華経を一度もそむける人の罪をば、劫を窮むとも説き尽くし難しと見えたり。しかるあいだ、三世の諸仏の化導にももれ、恒沙の如来の法門にも捨てられ、冥きより冥きに入って、阿鼻大城の苦患いかでか免れん。誰か心あらん人、長劫の悲しみを恐れざらんや。
 ここをもって、経に云わく「経を読誦し書持することあらん者を見て、軽賤憎嫉して、結恨を懐かん。その人は命終して、阿鼻獄に入らん」云々。文の心は、法華経をよみたもたん者を見て、かろしめ、いやしみ、にくみ、そねみ、うらみをむすばん、その人は、命おわりて阿鼻大城に入らんと云えり。大聖の金言、誰かこれを恐れざらんや。「正直に方便を捨つ」の明文、あにこれを疑うべきや。しかるに、人皆経文に背き、世ことごとく法理に迷えり。汝、何ぞ悪友の教えに随わんや。されば、邪師の法を信じ受くる者を名づけて、毒を飲む者なりと天台は釈し給えり。汝、能くこれを慎むべし、こ