『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

て仏を無常と談じ、小乗経に対して大乗経を破するが、舌は堕落するか。これをもっておもうに、おのれが依経には随えども依経よりすぐれたる経を破するは、破法となるか。もししからば、たとい観経・華厳経等の権大乗経の人々、依るところの経の文のごとく修行すとも、かの経にすぐれたる経々に随わず、またすぐれざる由を談ぜば、謗法となるべきか。されば、観経等の経のごとく法をえたりとも、観経等を破せる経の出来したらん時その経に随わずば、破法となるべきか。小乗経をもってなぞらえて心うべし。
　問うて云わく、双観経等に「乃至十念するに、即ち往生することを得ん」なんどとかれて候が、彼のきょうの教えのごとく十念申して往生すべきを、後の経をもって申しやぶらば、謗法にては候まじきか。
　答えて云わく、仏、観経等の四十余年の経々を束ねて「未顕真実」と説かせ給いぬれば、この経文に随って、「『乃至十念するに、即ち往生することを得ん』等は、実には往生しがたし」と申す。この経文なくば、謗法となるべし。
　問うて云わく、ある人云わく「無量義経の『四十余年にはいまだ真実を顕さず』の文は、あえて四十余年の一切の経々ならびに文々句々を、皆『未顕真実』と説き給うにはあらず。ただ四十余年の経々に、処々に決定性の二乗を『永く成仏せず』ときらわせ給い、釈迦如来を『始めて正覚を成ず』と説き給いしを、その言ばかりをさして『未顕真実』とは申すなり。あえて余事にはあらず。しかるを、みだりに『四十余年』の文を見て、観経等の凡夫のために九品往生なんどを説きたるを、みだり