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(029)
顕謗法抄
弘長2年(ʼ62) 41歳
本朝沙門日蓮撰す。
第一に八大地獄の因果を明かし、第二に無間地獄の因果の軽重を明かし、第三に問答料簡を明かし、第四に行者弘経の用心を明かす。
第一に八大地獄の因果を明かさば、
第一に等活地獄とは、この閻浮提の地の下一千由旬にあり。この地獄は、縦広斉等にして一万由旬なり。この中の罪人は、たがいに害心をいだく。もしたまたま相見れば、犬と猿とのあえるがごとし。各鉄の爪をもって互いにつかみさく。血肉既に尽きぬれば、ただ骨のみあり。あるいは獄卒手に鉄杖を取って、頭より足にいたるまで皆打ちくだく。身体くだけて沙のごとし。あるいは利刀をもって分々に肉をさく。しかれども、またよみがえり、よみがえりするなり。この地獄の寿命は、人間の昼夜五十年をもって第一四王天の一日一夜として、四王天の天人の寿命五百歳なり。四王天の五百歳をこの等活地獄の一日一夜として、その寿命五百歳なり。
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(029)顕謗法抄 | 弘長2年(’62) | 41歳 |