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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(024)

災難興起由来

 正元2年(ʼ60)2月上旬 39歳

 答えて曰わく、しかなり。謂えらく、夏の桀・殷の紂・周の幽等の世これなり。
 難じて云わく、彼の時、仏法無し。故に、また謗法の者無し。何に依るが故に国を亡ぼすや。
 答えて曰わく、黄帝・孔子等、治国の作方は五常をもってす。愚王有って礼教を破るが故に、災難出来するなり。
 難じて云わく、もししからば、今の世の災難、五常を破るに依るとならば、何ぞ必ずしも選択流布の失と云わんや。
 答えて曰わく、仏法いまだ漢土に渡らざる前には、黄帝等、五常をもって国を治む。その五常は、仏法を渡して後にこれを見れば、即ち五戒なり。老子・孔子等もまた、仏遠く未来を鑑み、国土に和し、仏法を信ぜしめんがために、遣わすところの三聖なり。夏の桀・殷の紂・周の幽等、五常を破って国を亡ぼすは、即ち五戒を破るに当たるなり。
 また、人身を受けて国主と成るは、必ず五戒十善による。外典は浅近なるが故に過去の修因・未来の得果を論ぜずといえども、五戒十善を持って国王と成る。故に、人有って五常を破れば、上に天変