『日蓮大聖人御書全集　新版』全文検索

　第二に、諸経の浅深を明かさば、
　無量義経に云わく「初めに四諦〈阿含〉を説いて、次に方等十二部経・摩訶般若・華厳海空を説いて、菩薩の歴劫修行を宣説す」。また云わく「四十余年にはいまだ真実を顕さず」。また云わく「無量義経は、尊にして過上無し」。これらの文のごとくんば、四十余年の諸経は無量義経に劣ること疑いなきものなり。
　問うて曰わく、密厳経に云わく「一切経の中に勝れたり」。大雲経に云わく「諸経の転輪聖王なり」。金光明経に云わく「諸経の中の王なり」。これらの文を見るに、諸大乗経の常の習いなり。何ぞ、一文を瞻て、無量義経は四十余年の諸経に勝ると云うや。
　答えて云わく、教主釈尊、もし諸経において互いに勝劣を説かずんば、大小乗の差別、権実の不同有るべからず。もし実に差別無きに互いに差別・浅深等を説かば、諍論の根源、悪業起罪の因縁なり。
　爾前の諸経の第一は、縁に随って不定なり。あるいは小乗の諸経に対して第一、あるいは報身の寿を説くに諸経の第一、あるいは俗諦・真諦・中諦等を説くに第一なり、と。一切の第一にはあらず。今の無量義経のごときは、四十余年の諸経に対して第一なり。
　問うて云わく、法華経と無量義経と、いずれか勝れたるや。
　答えて云わく、法華経勝れたり。
　問うて云わく、何をもってこれを知るや。
　答えて云わく、無量義経には、いまだ二乗作仏と久遠実成とを明かさず。故に法華経に嫌われて今