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皆、讃歎すべし。大果報を獲ん』。純陀また問う『一闡提とは、その義いかん』。仏言わく『純陀よ。もし比丘および比丘尼・優婆塞・優婆夷有って、麤悪の言を発し、正法を誹謗し、この重業を造って永く改悔せず、心に懺悔無くんば、かくのごとき等の人をば名づけて一闡提の道に趣向すとなす。もし四重を犯し五逆罪を作り、自ら定めてかくのごとき重事を犯すと知れども、心に初めより怖畏・懺悔無く、あえて発露せず、彼の正法において永く護惜建立の心無く、毀呰・軽賤して言に過咎多からば、かくのごとき等の人をばまた一闡提の道に趣向すと名づく。ただかくのごとき一闡提の輩のみを除いてその余に施さば、一切讃歎せん』と」。
また云わく「我往昔を念うに、閻浮提において大国の王と作り、名づけて仙予と曰いき。大乗経典を愛念し敬重し、その心純善にして、麤悪・嫉悋有ることなし。善男子よ。我はその時において心に大乗を重んず。婆羅門の方等を誹謗するを聞き、聞き已わって即時にその命根を断ず。善男子よ。この因縁をもって、これより已来、地獄に堕ちず」。
また云わく「如来は、昔、国王となって菩薩の道を行ぜし時、そこばくの婆羅門の命を断絶す」。
また云わく「殺に三つ有り。謂わく下・中・上なり。下とは、蟻子乃至一切の畜生なり。ただ菩薩の示現生の者のみを除く。下殺の因縁をもって地獄・畜生・餓鬼に堕ちて、つぶさに下の苦を受く。何をもっての故に。この諸の畜生に微かの善根有り。この故に、殺す者はつぶさに罪報を受く。中殺とは、凡夫人より阿那含に至るまで、これを名づけて中となす。この業因をもって地獄・畜生・餓鬼に堕ちて、つぶさに中の苦を受く。上殺とは、父母乃至阿羅漢・辟支仏・畢定の菩薩なり。阿鼻大
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(002)立正安国論 | 文応元年(’60)7月16日 | 39歳 | 北条時頼 |