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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(017)

一代聖教大意

 正嘉2年(ʼ58)2月14日 37歳

四教
 一には三蔵教、二には通教、三には別教、四には円教なり。
 始めに三蔵教とは、阿含経の意なり。この経の意は、六道より外を明かさず、ただ六道〈地・餓・畜・修・人・天〉の内の因果の道理を明かす。ただし、正報は十界を明かすなり。地・餓・畜・修・人・天・声聞・縁覚・菩薩・仏なり。依報が六つにてあれば、六界と申すなり。この教えの意は、六道より外を明かさざれば、三界より外に浄土と申す生処ありと云わず。また三世に仏は次第次第に出世すとは云えども、横に十方に並べて仏有りとも云わず。
 三蔵とは、一には経蔵〈また云わく定蔵〉、二には律蔵〈また云わく戒蔵〉、三には論蔵〈また云わく慧蔵〉なり。ただし、経・律・論の定・戒・慧、戒・定・慧、慧・定・戒ということあるなり。戒蔵とは、五戒・八戒・十戒・十善戒・二百五十戒・五百戒なり。定蔵とは、味禅〈定の名なり〉・浄禅・無漏禅なり。慧蔵とは、苦・空・無常・無我の智慧なり。
 戒・定・慧の勝劣というは、ただ上の戒ばかりを持つ者は、三界の内の欲界の人・天に生を受くる