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『日蓮大聖人御書全集 新版』全文検索

(012)

四信五品抄

 建治3年(ʼ77)4月10日 56歳 富木常忍

 青鳧一結、送り給び候い了わんぬ。
 今来の学者一同の御存知に云わく「在世・滅後異なりといえども、法華を修行するには必ず三学を具す。一つを欠いても成ぜず」云々。
 余また年来この義を存するところ、一代聖教はしばらくこれを置く、法華経に入ってこの義を見聞するに、序・正の二段はしばらくこれを置く、流通の一段は末法の明鏡なり、もっとも依用となすべし。しかして、流通において二つ有り。一には、いわゆる迹門の中の法師等の五品なり。二には、いわゆる本門の中の分別功徳の半品より経を終わるまで十一品半なり。この十一品半と五品と合わせて十六品半、この中に末法に入って法華を修行する相貌分明なり。これになお事行かずんば、普賢経・涅槃経等を引き来ってこれを糾明せんに、その隠れなきか。
 その中に、分別功徳品の四信と五品とは、法華を修行するの大要、在世・滅後の亀鏡なり。荊渓云わく「一念信解とは、即ちこれ本門立行の首なり」云々。その中に現在の四信の初めの一念信解と滅後の五品の第一の初随喜と、この二処は一同に百界千如・一念三千の宝篋、十方三世の諸仏の出ずる