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同じき幽王の時、山川くずれ、大地ふるいき。白陽という者勘えていわく「十二年の内に、大王事に値わせ給うべし」。今の大地震・大長星等は、国主日蓮をにくみて亡国の法たる禅宗と念仏者と真言師をかとうどせらるれば、天いからせ給いていださせ給うところの災難なり。
問うて云わく、なにをもってかこれを信ぜん。
答えて云わく、最勝王経に云わく「悪人を愛敬し善人を治罰するに由るが故に、星宿および風雨、皆、時をもって行われず」等云々。この経文のごときんば、この国に悪人のあるを王臣これを帰依すということ疑いなし。また、この国に智人あり、国主これをにくみてあだすということもまた疑いなし。また云わく「三十三天の衆、みな忿怒の心を生ず。変怪あって、流星堕ち、二の日俱時に出で、他方の怨賊来って、国人喪乱に遭わん」等云々。すでにこの国に天変あり、地夭あり、他国よりこれをせむ。三十三天の御いかりあること、また疑いなきか。仁王経に云わく「諸の悪比丘は、多く名利を求め、国王・太子・王子の前において、自ら破仏法の因縁、破国の因縁を説かん。その王別えずしてこの語を信聴せん」等云々。また云わく「日月度を失い、時節反逆し、あるいは赤日出で、あるいは黒日出で、二・三・四・五の日出で、あるいは日蝕して光無く、あるいは日輪一重、二重、四・五重の輪現ず」等云々。
文の心は、悪比丘等国に充満して、国王・太子・王子等をたぼらかして、破仏法・破国の因縁をとかば、その国の王等この人にたぼらかされておぼすよう「この法こそ持仏法の因縁、持国の因縁」とおもい、この言をおさめて行うならば、日月に変あり、大風と大雨と大火等出来し、次には内賊と申
題号 | 執筆年月日 | 聖寿 | 対告衆 |
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(009)撰時抄 | 建治元年(’75) | 54歳 | 西山由比殿 |